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2008年09月15日

モクモクファーム 木村(社長)さんのお話;

東海圏に来てずっと行ってみたかったモクモクファームさんに行ってきました。
そして社長の木村さんのお話を聞くことが出来ました。

非常に面白いので、是非ご一読ください。

木村さん

 今、農業に注目が集まっている。今もNHKと他に1局テレビが来ている。なぜかというと自給率が下がっているのが問題になっているから。40%を切っている。なぜか。まず、農業をしている人の平均年齢しっていますか?なんと65歳。60歳以上が58%。あと10年経ったらどれだけやっているのでしょうか。こうなっている原因の1つに、産業間格差というのがあります。車を作る会社に行ったほうが簡単に300万円とかの年収がもらえるし、安定する。農業は生計が立てられない、生活できないとなっている。だから、若い人が来ないのです。自給率を上げるにはどうしたらいいか。若い人が農業に一生を捧げようと思ってもらわなければいけない。人生は一回しかない。


 さて、モクモクはどうしたらいいのか考えました。悲しんでいてもだめ。さて、何が問題なのか。農業では、自分で作ったものを「値段を自分で決められない」ということです。相場によって決められている。例えば燃料が今上がっていて、他の物価が上がっている、それなのに野菜は下がっている。農家は上げて欲しいと思っているのに。ほんとは高く売りたい。誰が相場をつくっているんでしょうか。もし、価格が2倍になったら、今の農業も一気に元気になりますよ。(元気に畑を耕す格好をして)結局、一般の人は、戦争があったりして気付く。ちょっと昔、米パニックありましたね。あんなのがあったら分かるんです。


 若い人に、農業は夢もロマンもないと思われている。でも、そうなのか。モクモクでは、平均年齢は30ちょいの若い人ばかり。平均を上げているのは僕達みたいな人たちだけ。先週も今日も面接をしているのですが、明日も何十人も面接に来る。地元の人もいるけど、全国から来る。なぜか、モクモクは、新しいタイプの農業、新しいスタイルの農業に挑戦をしている。忍法のごとく変身している。(伊賀は忍者の里)こんなのも農業?というのにどんどん向かっている。


 どういうことか。例えば、1次産業と言われるところだけじゃないことをやる。レストランをやっている。それが、東海ウォーカーで若い人からの人気ナNo1に輝いたりしている。レストランだって農業。口にするものは全部農業。一次産業だけでは夢がない。そして、下請け。自分で作ったメロンが、千疋屋で20万円で売ってたりする。日本の食品産業は80兆円。原料は12,3兆円。その間は、加工・サービスなどということ。例えばコンビニの120円くらいのおにぎり。原料は30円くらい。だから、生産-加工-サービスというのを全部やると利益が作れる可能性があると。それを目指して20年前くらいからコツコツやってきた。そうすると、自分達の規格外品はレストランで使えるといったこともできたりもする。


 モクモクは閉じているのではなく、参加したいと人が入ってくる新しい仕組みを持った農業が出来てきたなと思う。理想的な社会の1つ。もっと、働く人が主人公であるべきだと思うのです。だから、うちは協同組合。扶助、助け合いの精神。働く人はそのほうがいいわけです。経営者としてのお金持ちはいないけれど、助け合ってやっている。みんな元気で思いをもって働いている。僕は後何年かしたら去っていく。出資金とわずかな功労金だけもらって。会社は誰のものかという議論があったけれど、ここは誰のものでもない。しいていえば、地域のもの。会社は、30年と言われたりするけれど、永遠に続く会社は働く人が中心。全ては地域のもの。だから、成長しているしエネルギーがある。そういうふうに農業を変えていきたい。自立できるように。


 うちは、若い人がどんどん海外に勉強しに行く。ドイツに、デンマーク、オランダに。ヨーロッパから学ぶものが多い。例えば、うちは今度養豚場を作ろうとしている。全てが循環型の。養豚でも新しいものを作っている。なにをやるにしても必ず新しいものをつくろうと言っている。もちろん、安心、安全なものを、おいしいものをつくる。おいしいというのは欠かせない。イタリアのスローフード、おいしくなければならない。本質的なものはおいしさ。その次に、安全・安心。農業の現場での問題は、薬。まず抗生物質は駄目。結局、我々の体に入ってくる。だから、取り組んでいるのは無薬の農法。薬を使わない。そして、循環型。アメリカの穀物が問題になっていますが。何かというと、豚・鶏は、穀物を食べる。4キロ使って、1キロ太る。中国、インドが豚や鶏をどんどん食べるようになったら作物は大変です。そうでなくても、エタノールに使われたりしている。エサは当面安くならないでしょうね。


 エサは高くなるけれど、養豚をやりたい。そこで気付いた。私達は食べ残す。年間1人あたり160キロも食べ残す。結婚式場で出てくる豪華な料理、居酒屋で出る色々な料理。さらに、工場からも出てくる。規品や返品などすごい沢山。この地域には、井村屋さんの肉まんとかを作っている会社の工場がある。赤福もある。工場から出たそういうものは、全部償却されている。それらを集めて、豚のエサにしよう、と。


  ここで、その知恵がどこにあるかというと、デンマーク、ドイツ、オランダ、それとフランス。ヨーロッパはすごい。日本はこれまでアメリカの消費社会に学んできたが、今後はヨーロッパに学ぶべきだと思う。例えば、こういう循環型の技術は彼らがとても進んでいる。学んできた方法は、固形を集めてくるだけじゃなく、さらに液状のものも集めてくる。それらを混ぜてそのドロドロのスープを作り、さらに発酵させてヨーグルト状にする。豚はそういうものも食べる。そして、さらにすごいのは栄養分析して、足りないものをどんな穀物で補うか考える。穀物は3~4割で済む。あとドイツだとビール粕なんかもよく使っている。それから、豚のウンチ。メタンガスを出して、発電する。そこで出る熱エネルギーも利用する。さらに臭いと思われがちだが、ヨーロッパの脱臭技術がまたすごい。何を使うかというと、木の根っこ。木の根の吸着力はすごい。出てくる空気は、かすかに土の良い香りがする。こういう技術はどんどん学べと思います。他にハムの技術はドイツから学んでいます。


 それから食育。毎年、海外の大学生の受け入れをやっていたりするのですが、フランスから4人留学している。我々も彼らをもてなす。自分たちの作ったチーズ、山梨のワイン。おいしく食べてもらう。しかし、最後にはフランスのほうが美味しいと必ず言い出す。そして、こうこうこういう風にすればもっと美味しく作れるとか言い出す。どうして知っているのかと聞くと、そんなの子供の頃から知ってるという。子供の頃の環境と、教育の一環として食育がシステムになっている。日本だと食育基本法みたいなものがあるけれど、法律であって制度になっていない。報奨金をまともに出すとか少しはやっているけれど、それを学校がちゃんと取り込めていない。子供達は学ぶとやっぱり、地域のがいいよね、と愛着や郷土愛が分かってくる。今、自国愛とか日本のものがいいよねと言える人がどれだけいるか。そんなことをフランスの彼ら・彼女らから学びました。


  やっぱり自国の食文化を見直そうということをやらなくてはいけない。スローフードすごいですよね、イタリアの世界的な広告になっている。あれで産業が色々潤うんですから、日本だってやっていかなければいけない。マクロビオティックとかはすごいですよね。あれは、マドンナとかがやって向こうで流行って、逆輸入です。他にも出来るはずなんですよね。僕らもマクロビオティックのお店を1つ出した。四日市の第一号店を、野菜だけにした。モクモクなのに肉は出さないと。


 それと、食育の話ですが、食べ物からは人は本当に色々学ぶ。子供なんて、知らず知らずのうちに詳しくなっていく。詳しくなって、おいしいものをおいしく食べてもらえれば、作る人はがんばる。そういうもんなんです。だから自給率を上げるには食育が必要。子供が例えば、酪農体験をやってみるとはじめて気付くのは「牛乳があったかい」ということ。ものすごい気付き。牛乳は冷蔵庫に入ってるから冷たいもんだと思っている。牛の動きとかあったかさから、命を感じる。情操を学ぶ。牛って大変だねーと感じる。そして、栄養のことを教える。そうすると牛に新しい価値観を持ち、きっと捨てようとするときに躊躇する。他の命をいただくということを学び、ものの大切さを体験で学びます。


 うちでは、子供を1週間預かるというのをやっている。40人くらい。ものすごい人気で、1日だけ設けてる予約日には電話が殺到して10分くらいで埋まってしまう。こういうことは事業としては儲かりません。ですが、農業のファン作りには欠かせない。教育についてですが。農業をやっていると個性が出てくる。私は牛が好き、私は野菜に興味をもった、僕は虫が好きとか。そうすると、どんどん牛を勉強しだしたりする。自分で勉強すると勉強の仕方を学ぶ。教え育てる「教育」では、人間性を失ってしまう。自発的に育つ「発育」が大事だと思います。カリキュラムの転換、学習の転換、個性を伸ばす。農業側から学校を作ってみたりしたいなと思います。


 他にも福祉についても考えたりしている。老人ホームとかに行くと、あの綺麗な施設でほとんど生き甲斐を感じていないのではないかと思ってしまいます。日本の100歳以上の長生きする人はみんな農業をしていた。なぜかというと。毎日に生き甲斐がある。種を植えてそれが収穫できるまで時間があるからです。そこに希望がある。だから長生きするんです。


 お金がないけど夢があるという人には、市民ファンドがもっと必要だと思います。農的な暮らしをしたい人にお金を貸したり、市民農園を紹介する。老人で水遣りが大変ならコンピューターに任せるってことも出来るかもしれない。収穫祭は出来るし楽しいですよ。そういうライフスタイルの提案をしていきたい。


 ライフスタイルというのでは、5都2村というのを言っている。5日都会で、週末は田舎。モータリゼーションでそれが可能になっている。実は、よく東京から東京にお店を出さないかとかと声がかかるのですが、うちはやらない。なぜかというと2,3時間で車でいける場所ではない。この2,3時間の距離というのが生活圏のギリギリなのではないかと思います。何か問題があったら、車でいける。


 こんな風に僕らは、まだまだやれていないことも多いのですけれど、日本の農業というカテゴリを破ってやれればいいと思っています。どんどん日本で農業の枠組みを変えていく人たちが出てこればいいと思っています。


-どんなスタッフ体制でこれまでやってこられたのですか?


 自分はやさしい性格。だから専務の吉田がその反対で大事だった。仏の木村、鬼の吉田と言われたりするくらい。他には、役員が7名ほど。それとキャプテンと呼ばれる色々な事業のマネージャーが30人くらい。このメンバーで会社を進めている。実際にはマネージャー会議で大まかにきまって、役員が最終決定を下すわけですが、ちゃんとマネージャーが議論されているときには僕らはほとんど何も言うことがない。発想や夢は語りますが、僕らだけの夢でも足りない。例えば、今日はバンザイ祭りというのをやっていますが、早稲田のバンザイ同盟というところとモクモクファーム全体が一緒になって作っている。こんなアイデアは僕からは出てこない。基本はみんなの総意でやっていくことですね。


-他に農業やっている人はどういう風にすれば自立が目指せますか?


 まず、チャンネルの多角化ですね。農協だけではなく、自分で売る先との関係をたくさん作っていかなくてはいけない。それとブランド化ですね。



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投稿者 ryutaro : 2008年09月15日 13:46
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