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2008年09月27日

出発点/宮崎駿 (vol.1)

出発点―1979~1996出発点―1979~1996
宮崎 駿

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ポニョを見た後、暫く考えた。彼は何をどう考えてあれを作ったのだろうかと。この本を読んで、彼の意図することを、伺い知ることが出来た。創作とは、ということに非常に考えさせられ勉強になった。分厚すぎて、読むのは大変なので要素だけ書き出す。無論、この間に良い話がいっぱい出てくるんですが。


冒頭。筑紫哲也との対談(1979)より;

(司馬遼太郎さんが亡くなった後。朝日新聞の記事で。) 「いま私は日本人の没落しようとしている情けない時代をみなければならない。司馬さんがこの情けなさを見ないで亡くなったことにほっとしている。」(P.12)


日本人の没落ということに、何が一番気になるかといったら、今後右肩上がりの経済成長が続くとか、マルチメディアがどうしたかということよりも、この国にいる子供達が元気なのかどうかということが、僕は一番気になります。つまり人が健やかに生きていれば、国は貧乏でもいいんですよね。(…)「なんとなく先は明るいぞ」みたいな時代ないことは、もうはっきりしているんですから。(…)その中で自分の子供たちや孫たちが生きていくことを考えたら、その子供たちに何があげられるか、何もあげてないなというふうに思うんです。どうしたらいいんだろうちおうことを考えると、自分自身が一体何ができるかということを実証的に考えて、その範囲でやるしかないだろうというふうに思ってますけど。(P.13)


小学校を変えなきゃだめだと思います。中学生や高校生になってから取り戻そうと思っても無理だと思います。(…)いつの間にか子供時代というのは、大人の時代のための投資の時期だというふうになってしまったんですね。(…)子供時代というのは、大人のためにあるんじゃなくて、子供時代のためにある。子供の時代にしか味わえないことを味わうためにあるんだと思う。(…)個性なんてその子供時代の体験から育つものです。(…)子供を一回大人の監視下から解放する。そうすれば遊び場がなくても子供は遊びます。(P.14)


私のとってのアニメとは;

要するに、漫画雑誌でも、児童文学や実写映画でもない、アニメでしかできない架空・虚構の世界をつくりあげて、そこへ自分の好ましい登場人物をほおり込み、一つのドラマを完成させる。結論めいてしまったが、私にとってアニメーションとは、そういうものである。(P.42)


自分の世界を持ちたいと~自分が作るとしたら;

中学生を中心とした”ミドル・ティーン”と呼ばれる人々の間で、アニメがいま大変な人気を呼んでいる。(…)この年代は、一見自由に見えるけれど、実は抑圧されている部分が多い。勉強と同時に異性への憧れも強い。そういう、鬱積したものから逃げる手だてとして、ミドル・ティーンたちは「自分の世界を持ちたい」と願う(…)私は、そうした感情を「失われた世界への憧れ」だといっている。(…自分と「白蛇伝」の出会い…)このように、みたされない部分を”なにか”ととりかえることにより、満足する。その”なにか”が映画であったり、音楽であったり、小説であったりするのだが、その一つにアニメもはいっているのだ。(…)ともあれ、私の場合は、「白蛇伝」をみたのあがきっかけで、アニメーターの道を選んでしまったことになる。以来15年間にわたって、作品をつくるにさいし、私自身、変わらぬ姿勢は、「よい作品をみたり、それを乗り越えていく」という気持ちだ。(P.43)


いまのうちに勉強を;

いま、アニメの世界にいる若い人たちには、アニメが好きというだけでいきなり飛び込んできた人もかなりいる。この人たちにたとえば「チャイカ」が飛ぶときに、どういうイメージで飛ぶかを描いてもらう。そうすると、過去にみたテレビ・アニメのイメージしかわいてこない。これではダメだ。自分本来のイメージで飛ばそうとするならば、飛行機に関する本を一冊でも読んで、そこからのイメージをふくらましてほしい。(P.50)


虚構(うそ)の世界を作る;

つくられた世界?たしかにそうさ。客も役者同様それは知ってる。それでも楽しんでくれるのさ。……お客さんたちは、自分が勇敢で強くて、美しいことをさとるんだ。なぜ?そりゃお客さんの心のどこかに、そうした性質があるからだ!つくられたウソの世界?そうじゃない!わしらはお客さんたちに真実を見せているのさ。こういうふうにだってなれる、というかたちでね……。(ロイド・アリグザンダー「セバスチャンの大失敗」)アニメーションを作るとは、虚構(うそ)の世界を作ることなのだと思う。(P.52)


本来のアニメーターに近づく;

アニメーターとは、アニメーションをつくる人間、いや正確には人間たちだった。かつてアニメーターは万能だった。絵を描き、物語をつくり、動かし、色をぬり、カメラを操り、声や音まで自分で吹き込んで、一つの世界をつくろうとした。いま、アニメーションは量と分業の時代にある。世界に類のない大量生産、テレビ・アニメ番組の洪水の中で、アニメーターはもはやアニメ採算家庭の一歯車にすぎなくなった(…)あまりに厖大な作業量、制作費と時間の絶対的不足、局とかスポンサー、興行主たちの愚かさ、いったんできあがった分業システムの壁の厚さ、君がコンベアの前に座って、機械的に紙に鉛筆を走らざるをえないとしても、誰が君を責められるだろう。(…)アニメーターは、作品全体にかかわりを持つことはできないのだろうか……、本来のアニメーターに少しでも近づくことはできないのだろうか……。いや、道がすべて鎖されているわけではない。アニメーションはしょせん、人間の集団(それもたいしてい強固な意志で統一されていない集団)が、つくっているものなのだ。君に労をいとわぬ意志と、表現したい世界と、それを裏づける技術があれば、君は一歯車から少しずつ本来のアニメーターに近づいていくことができる。(P.53)


続く。

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投稿者 ryutaro : 2008年09月27日 08:20
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